特殊な事情がないかぎり、およそ誰もが預金口座は持っています。
貯蓄にしろお財布替わりにしろ銀行口座はとても身近なものですね。
考えたことあるでしょうか。
親が死んだとき、もしくは自分自身が死んだとき、その口座がどうなるのかということを。
こんなことを私が考えるようになったのは別に銀行に居たからではありません。
20年以上前のことですが主人の両親が事故にあいました。その時に義母は亡くなり、義父も意識が戻らないまま数か月。その後奇跡的に意識は戻りましたがもう以前の義父ではありませんでした。
そういうわけで主人とその弟妹(3人兄弟)みんなまだ20代でしたが、その後の色々な手続きやら問題を処理していかなければならない状況になりました。
その中で銀行口座の処理もかなり煩雑な手続きを要求されたのです。
この記事は
- 両親が存命である
- 終活という言葉に目がとまるようになった
- 明日も今日の続きだと考えている
という方に見て欲しい。
死亡後の手続き
時間がかかる
この手続きには時間および手間がかかります。まずそれは覚悟しておいて下さい。
銀行手続きの時間がかかる例としては休眠口座の解約や、頻度として少なくない紛失・盗難手続きなどがあります。それらの詳しい記事はこちらからどうぞ。
亡くなった人の口座手続きはこちらが用意しなければならない書類などが多く、上記よりとても大変です。
通帳も印鑑もあるのに、なにがそんなに?と不思議に思われた方いるでしょうか。
違いは単純です。
それは相続が絡んでくるからです。
預金は財産
普段は意識して口座を使っている人は少ないかと思います。
もちろん財布替わりの口座と貯蓄としての口座は分けているかもしれませんが、もし万が一明日あなたが死んだとしたら、それはそのまましかるべき相続人に譲られる財産となるのです。
財産がとても多い方なら、普段から財産管理や相続税がかからないように生前贈与など節税かねての知識もあるかも知れませんが。
若い人やまだそこまで考える年代じゃないと思える人は、中々そんなことを準備してはいないでしょう。
主人の両親もそういう準備はしてませんでした。まだ若かったですし、昨今はよく聞く終活やら遺言書などの意味も今ほど周知されてなかった頃です。
死亡届
銀行に死亡届が出された場合ほぼ凍結という処置がとられます。
厳密にいえば凍結するかしないかは遺族の任意ではあるのですが、実際のところ銀行が口座名義人が亡くなったことを把握した時点で勝手に引き出しなどはできなくなります。
事実上の凍結ですね。
悪意ある第三者から預金を守るため、および正当な相続人の財産を守るためです。
では銀行に知られる前に引き出してしまえば良いのでは?
確かに銀行に自動的に死亡通知が行くわけではないので届け出をださないままそれをすることは可能です。
しかしそれはつまり本人と偽って(本人は亡くなっているので当然)お金を引き出してしまうという事であり、詐欺行為にあたります。
亡くなったその瞬間から相続が発生します。のちのち相続のトラブルを招かないためにも短慮はせず正当な手続きを踏みましょう。
名義人が亡くなったのですからそれ以後口座は使われることなく、最終的には解約という手続きになります。
しかし解約までの流れは時間と手間がかかります。
どうしてもその前にお金が必要(葬儀など)な場合は、相続人全員の承諾書があれば預金の3分の1は引き出すことも可能です。
ちなみに義母のときの場合は、銀行手続きよりも他に優先的に片づけねばならない問題が山積みで、口座は凍結したまま手続きは三か月ほど放置されていました。
遺言書があるかどうか
まず最初に確認されるのが遺言書の有無です。
自筆でも公正証書でも、公的に有効であるならばどちらでも良いです。
遺言書があるならば、銀行によって多少違うかもですが一般的に必要な書類は以下のようなものです。
- 通帳・証書・キャッシュカード・貸金庫の鍵など
- 遺言書
- 故人の実印
- 故人の除籍謄本・戸籍謄本
- 相続人の実印
- 相続人の印鑑証明書
遺言書がない場合
遺言書がない場合は一般的に以下。
- 通帳・証書・キャッシュカード・貸金庫の鍵など
- 遺産分割協議書
- 故人の実印
- 故人の除籍謄本・戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
ここで聞きなれないのが遺産分割協議書です。
簡単に言えば相続人全員の、誰がどれだけ相続するかの割合を決めたものです。
相続の問題によりそれぞれ内容は変わりますので、ここでは詳しいことは省きます。ただこれをあらかじめ用意しておかないと預金の全ては引き出せません。
また相続人が用意する戸籍謄本・印鑑証明などは全員分です。
ちなみに主人のときは弟妹と3人分必要でした。
しかもその書類全て揃えても、受け取りはまた別です。
相続人全員で受け取りに行けばその場で預金を全て引き出すことも可能ですが、誰かが代表で一括引き出すには全員の承諾書が必要です。
あくまで協議書の割合による金額しか、おのおのでは引き出せません。来店できない場合は振込口座の指定なども必要です。
おもに上記のような流れになりますが、銀行によって必要な書類・手続きは違ってきます。実際にはその銀行にお問い合わせください。
手続きは銀行ごと
ざっと一連の流れを見てもらいましたが、これは一つの銀行においての話です。
色んな銀行の口座を持っていれば、その数だけこの手続きが必要ということです…。
ちょっと気が遠くなりますよね。
主人のときはメインバンクはひとつだけで他は郵便局と細かいのが三つくらいでしたから、少額は放置したのもあって口座処理についてはそこまで苦労しませんでした。
単に処理終わるまで長かったなという感想くらいで。
ですが預金を分けて色々な銀行に預けている方などは、かなり大変になるのではないかと思います。
うちは利用しませんでしたが、
相続手続代行サービスというものもあります。
財産目録の作成から不動産・預貯金の相続手続きなどをしてくれるそうなので、これを利用するのも一考だと思います。
必要なこと
この記事では、
死亡したときに預金口座はどうすれば良いのか
- 手続きには時間がかかる
- 遺言書の有無によって書類がかわる
- 遺言書がない場合さらに必要書類は増える
- 手続きは銀行ごとである
などの説明をかいつまんでしてきました。
ざっと見ただけでそれなりの労力と手間がわかっていただけたかと思います。
突然、今日と同じ明日が来ないことがあります。
義父母が事故にあったのは、私が第一子(初孫)を生んで3週間目の日でした。
- 銀行口座の不要なものはなるべく解約しておく
- 財産目録を作っておく
- 遺言書を作成しておく
など、あったら遺族の労力を減らしたり相続にまつわるゴタゴタを軽減できるものがあります。
常に死後のことを考える必要は全くありませんが、ぜひ心の片隅にとどめて貰いたいのです。
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